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宏福な日々

宏福な日々

 

 

書籍 「いまも、君を想う」 川本 三郎  新潮社

 

35年連れ添い、一緒にいるのが自然、当たり前の状態になっていた奥さんが、3年の闘病生活の末に亡くなる。57歳の若さだった。7歳下の奥さんのまさかの死。寂しく同時に「家内に何もしてやれなかったという後悔、無力感に襲われた」作者の亡き妻への追想記です。ここで綴られている、なんということのない日常のエピソードがより一層、妻を失った喪失感を際だたせます。

 

映画「二四の瞳」見て、ほとんど泣きっぱなしの作者の隣で平然としている。「可愛くないやつだな」といっても「あなたのほうが泣きすぎなのよ」と笑い、「泣く子はいねが」と秋田県のなまはげの真似をする。

 

新幹線のある駅で食べた立ち食いそばがおそろしくまずかった。そば屋に行くたびにその話をしたので、ついに「そのまずいそば食べたい!」そしてそのそばを食べて「聞きしにまさるまずさね」と納得する。

 

高血圧で生活を改善するように言われた作者。「いままでは、おいしいものを作ることだけを考えていたけど、それじゃだめなのね」と塩分控えめの食事に切り替えます。「これからは、多少、味が落ちるかもしれないけど、身体のためと思って我慢して」

 

2006年の夏の旅行のあいだ、妻は食事をしては戻すようになります。ものが喉のところでつかえると言う。10月に病院に行き、食道癌と分かります。

 

癌を告知されても家内は泣かなかった。泣き言を言わずに淡々と病気に堪えていた。最後の頃、自分はもう何も食べられなくなっているのに、テレビで大食いの女の子が大量の料理をぱくつくのを見て面白そうに笑っていた。そんな彼女が春のある日曜日、「新緑を見たい」と言って、病院前の小さな緑地に行きます。木々の若い緑と、遠くを走る中央線の電車を黙って見ていた彼女は突然、静かに泣きます。

 

大切な人ほど、連れ添った時間が長いほど、亡くなったときの喪失感は大きい。いつかは来る伴侶を亡くした後の一人の老後。この本は特に若い人達に読んでもらいたい。平穏な日常というのがいかに大切かを実感します。

 

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