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読書日記

 単純な脳、複雑な私    池谷祐二     朝日出版

 「進化しすぎた脳」でこの人の脳の本にはまっています。今回は作者が自分の出身高校の生徒向けに話した内容をまとめた物。そのため割と優しく書かれていてます。が、この本を読むと、従来の私たちの心の動きに関しての考え方がいかに間違っていたかが分かります。
「吊り橋の上で告白すると成功率が高い」「長い時間一緒にいるとその人の事を好きになる」など私達の感情はいかに脳のこじつけや錯覚に左右されていることか!!
 例えば、私たちの脳はひどく曖昧で柔らかい方法で記憶を保管しているらしい。しかも記憶が呼び出されるときに、その内容が書き変わってしまうこともある。記憶は思い出すときに再構築され記憶の内容は組み換わって新しいものになる。
 また、作話の話も面白い。実は私たちの行動は殆どが無意識に支配されている。脳は体を介して自分のおかれた状況を理解する。しかしその行動の理由が分からないとき脳は作話して自分の行動や判断の意味を探している。この事から分かることは私たちの精神活動はかなり大きな部分で「体」が重要なウエイトをしめている。私はこの本を読んでから自分の直感というものをかなり大切にするようになった。
 そのほか手を動かすときには脳が動かそうと意識してから手を動かすのではなく、本人が「動かそう」と意図したときには脳はすでに動かす「準備」を始めていたという驚くべき事実も語られており興味が尽きない。
自由について私たちにある「自由」は自由意志ではなく自由否定である。私たちにできるのは 自動的に脳からゆらぎを通じて発生してきたアイデアを採用するか不採用にするかだけである。そこにしか私たちの選択の余地はない。このアイデアはだめだ、あのアイデアもだめだと否定する。そして最後にこれならいいね.・・・・と自由否定をしない。私たちの脳はそういうスタイルだけが許されている。アイデアそのものは脳のゆらぎから自動的に生まれる。私たちはゆらぎに任せることしかできない。

数々の知的好奇心を刺激する話。心とは、生命とは、自由とは。そして「創発」「リカージョン」「再帰性」「ゆらぎ」「ラッセルのパラドックス」等の意味が分かりやすく解説されている。
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